新型コロナウイルスワクチンの接種が始まってずいぶん経ちましたが、まだまだ接種希望でありながら接種できていない方がたくさんいらっしゃいます。
原因はワクチンの供給不足です。
ファイザー社製、モデルナ社製ともに供給が滞っています。

とくさんもワクチン接種の協力に携わっていましたが、最近はワクチン不足で声がかからなくなりました。
そこで登場したのが、アストラゼネカ社製のワクチンです。
特例承認はモデルナ社製のものと同時期にされていましたが、血栓症リスクの報告が多いなどの理由で国内で使用されてきませんでした。
承認は18歳以上でしたが、今回限定的に40歳以上のみに接種されるようです。
ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンの特徴比較
ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンの比較を表にまとめてみました。
ファイザー | モデルナ | アストラゼネカ | |
保管温度 | きびしい | やさしい | 最もやさしい |
接種間隔 | 3週間 | 4週間 | 8週間推奨 (4〜12週間) |
1回接種量 | 0.3ml | 0.5ml | 0.5ml |
希釈 | 必要 | 不要 | 不要 |
1バイアル | 5〜7回分 | 10回分 | 10回分 |
ワクチンタイプ | mRNA | mRNA | アデノウイルスベクター |
接種年齢 | 12歳以上 | 12歳以上 | 40歳以上 (特例18歳以上) |
アストラゼネカ社製はアデノウイルスベクターワクチン
アストラゼネカ社製ワクチンのみ「アデノウイルスベクター」のワクチンです。
このため、超低温保存の必要はないのですが、代わりに遺伝子組み換え製品としての処理が必要です。
具体的には、
●製剤もしくは設備の見えやすいところに『遺伝子組換え生物学的製剤』であることを表示して保管
●ワクチンの充填は被接種者や他のスタッフから離れた場所で行う
●接種前後の待機場所と接種場所を分ける。
●原則、未使用バイアルの原液やバイアルの残液は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律137号、以下「廃棄物処理法」という。)に従って感染性廃棄物の専用廃棄ボックスなどに入れ、漏出しない状態で、感染性廃棄物処理業者に廃棄委託する。
委託できない場合は、廃棄物処理法に従って、医療用ハイターなどで適切に不活化処理を行ってから廃棄する。
●再利用する器具(例;トレーなど)は、廃棄物処理法に従って、高圧蒸気減菌・医療用ハイターなどによる不活化処理を行った上で十分洗浄する。
●注射部位に貼られた絆創膏は、施設内の専用ボックスなどに廃棄するよう指導する。
●施設外で廃棄する場合は、使用後のマスクなどと同様にビニール袋などに入れたうえでゴミ箱に廃棄するよう指導する。
このようにワクチンの成分を外に出さないようにしなければなりません。
接種間隔は8週間以上が推奨
アストラゼネカ社製ワクチンは、接種間隔は4週間〜12週間なのですが、効果を高めるには8週間以上開けた方が良いとされています。
ワクチンは2回接種しないと効果が十分でないため、接種完了まで約2ヶ月かかってしまうのはデメリットと言えるかもしれません。
冷凍庫は不要、冷蔵庫のみでOK 充填後も遮光・冷蔵庫で48時間保管可能
こちらも表にまとめてみました。
保管状況 | ファイザー (コミナティ) | モデルナ (モデルナ) | アストラゼネカ (バキスゼブリア) |
ー90〜ー60℃ 冷凍庫 | 9ヶ月 | ー | ー |
ー25〜ー15℃ 冷凍庫 | 14日 | 9ヶ月 | ー |
2〜8℃ 冷蔵庫 | 30日 | 30日 | 6ヶ月 (使用期限まで) |
8〜25℃ 室温 | 2時間 | 12時間 | 6時間? |
生食溶解後 | 6時間 | ー | ー |
充填後 | 6時間 | 6時間 | 室温6時間 2〜8℃48時間 |
ファイザー社製やモデルナ社製と違い、2〜8℃の冷蔵庫での保管で、最大6ヵ月保ちます。
さらに充填後も遮光・冷蔵庫保管で48時間OKなので、キャンセルなどで余ってしまった充填済みワクチンを翌日まで持ち越せます。
キャンセル分の接種者探しは市・町や県の職員の負担を増やしていたようなので、少し楽になるといいですね。
アストラゼネカ社製ワクチンの未使用のものの室温保存期間の記載が見当たらなかったので、充填後と同じ6時間にしておきました。
アストラゼネカ社製ワクチンの有効性
アストラゼネカ社とファイザー社製とモデルナ社製で比較してみました。
(条件が同一ではないので、参考数値ですが)
海外臨床試験 | ファイザー | モデルナ | アストラゼネカ |
有効性(変異なし) | 約95% | 約94% | 約63% |
こう見るとアストラゼネカ社製はあまり効果がないように見えてしまいますが、発症者は出るものの、入院・重症者はゼロの結果でした。
これを、どうとらえるかだと思います。
ファイザー・モデルナ・アストラゼネカから選べるなら、アストラゼネカを選ぶ理由は薄そうですが、
現状アストラゼネカしかないのであれば、重症化リスク軽減が期待できるので、接種のメリットはあるかと思います。
ただ上記のデータは変異株が流行する前なので、変異株にどの程度有効かは未知数です。
まとめ
新しく使われることになったアストラゼネカ社製ワクチンについてまとめてみました!
温度管理は簡単そうですが、遺伝子組み換え製剤ゆえの取り扱いの注意が必要のようです。
また、接種を受ける方にとっても、打ち終わるのに2ヶ月かかる点が気になりました。
しかし他のワクチンが入手困難である現在、接種できるという選択肢が増えたのはいいことだと思います。
デルタ株の次に来るであろうラムダ株に備える意味でも、ワクチン希望者がいち早く接種できることを願っています。

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